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消滅時効の援用


時効とは?


時効とは、一定の時の経過により、権利が消滅したり、権利を取得出来たり、刑事責任を問えなくなったりする、という制度のことです。
時効には、民事上の「時効」刑事上の「時効」とがあり、刑事上の時効には「刑の時効」と「公訴時効」の2種類があり、民事上の時効には「消滅時効」と「取得時効」の2種類があります。


時効の種類
(1)消滅時効 消滅時効とは、一定の期間の経過によって、借りたお金や代金の支払義務が消滅するというものです。
(2)取得時効 取得時効とは、一定の期間の経過によって、土地や動産の所有権などが占有していた者に移転するというものです。
(3)公訴時効 公訴時効とは、一定の期間の経過によって、刑事上の処罰を受けることが無くなるというものです。
(4)刑の時効 刑の時効とは、一定の期間の経過によって、確定した刑の執行を行うことが出来なくなるというものです。

時効の援用とは、権利の取得(取得時効)や消滅(消滅)という法律効果を発生させるために行う意思表示のことです。

時効期間が経過しても個人や企業の債権が自動的に消滅する訳ではありません。
時効の利益を受けるためには、相手に時効援用を通知するか、裁判で「債務不存在確認訴訟」の判決を取るなどしなければなりません。
「内容証明」で時効援用を行えば、費用や時間の手間も少なく済みますし、相手に時効援用の事実を否認されたり時効中断手続きを取られたりしないで済みますので安全です。
また、請求する権利が時効で消滅しないように、一定期間、時効の進行を停止させる「催告」としても、「内容証明」が効力を発揮します。



時効制度の存在理由


時効という制度は何故、何のためにあるのかという「時効制度の存在理由」は以下の3つとされています。


時効の種類
(1)権利の上に眠る者は保護しない
権利があるのにその上に胡座をかき、これを行使しない者・保持しない者まで、わざわざ法が保護する必要はない、という意味であり、消滅時効の存在理由として説明されています。
(2)証拠の保存負担の軽減
証拠は長期間の経過により風化や消滅が進み、確たる根拠となり得ない為、いつまでも国民を不安な状態に置いたり、国が証拠保存の経費負担を続ける訳にはいかないという趣旨です。
これは主として、犯罪における公訴時効の存在理由として説明されています
(3)公益・秩序維持
一定の期間が経過した事については、それが事実であるとしてその上に新たな法律関係が生まれるため、覆すと社会の秩序を不安定にし、かえって公益に反してしまうという意味です。
これは、取得時効の存在理由として説明されています。

時効制度の概要


一定の期間の経過によって、占有者や債務者が時効を主張出来るようになったり、債権者や国家が裁判所に権利の行使を主張することが出来なくなります。
この期間のことを「時効期間」といいます。


(1)取得時効
所有の意志をもって平穏・公然に動産・不動産を占有した場合、占有を始めた日から20年が経過すると取得時効が完成し、占有者は、その占有物について所有権を取得します。
また、占有者が占有の開始時、自分に所有権があると信じ、かつ信じることに過失がなかった場合には、10年で取得時効が完成します。
(2)消滅時効
お金の貸し借りの場合、返済期日の定めのないものは貸した日から、返済期日の定めのあるものは返済期日から、個人間であれば10年、商人間であれば5年の経過によって消滅時効が完成します。
その他、家賃は弁済期から5年、宿泊費や運送費、飲食代などは1年、注文制作の請負代金や請負工事の代金は2年、不法行為に基づく損害賠償請求権は事実を知った時から3年、などなど、個別に時効期間が定められています。
(3)公訴時効
犯罪行為が終了した時より、その犯罪行為の罪の刑罰によって公訴時効が定められています。
※殺人罪・強盗殺人罪は時効期間なしです。
暴行罪・過失傷害罪・器物損壊罪・脅迫罪・強要罪・名誉棄損罪・威力業務妨害罪などは3年
横領罪・背任罪などは5年。
窃盗罪・恐喝罪・詐欺罪・業務上横領罪などは7年
強盗罪・傷害罪・強制性交罪などは10年
業務上過失致死傷罪や傷害致死罪などは20年
ほか。



時効の中断


時効の中断とは、ある一定の事由が生じた場合に、それまで進行していた時効期間の経過を無かったものにし、再度、一から時効の進行を開始させるという制度のことをいいます。
つまり、時効の中断があると、それまでに経過した期間はゼロにリセットされ、新たに時効期間がカウントし直される、ということです。
時効の中断事由には、以下のようなものがあります。

時効の種類
(1)裁判上の請求 この場合の請求とは、訴訟、調停申立、即決和解の申立、など、裁判所が関与した請求のことに限られます。
単に督促状を出したとか催促の連絡をしたということでは「時効の中断」になりません。
(2)債務の承認 債務の一部を弁済したり、期限の猶予を求める書面を差し入れたりする行為は、債務の承認となり、時効が中断します。
なお、時効完成後後の場合は「時効の利益の放棄」として、同様に時効の進行がゼロに戻ります。
(3)差押え、仮差押え、仮処分 例えば、給与差押えや不動産の競売申立などを受けた場合、時効は中断となり、新たに10年間の期間経過が必要となります。




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