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内容証明を出した後


内容証明を出した後


内容証明は手紙ですので、実に様々なものがありますが、大きく分けると、以下の2種類が考えられるかと思います。


(1)意思表示の送達のみによって効果が生じるもの
時効の援用や債権譲渡、相殺、退職届、等のように、送達のみで効果が生じる事案の場合は、もしも送達されなかった場合の対処法を検討・確認しておけば充分です。
(2)相手からの回答や履行を求めるもの
相手に支払や回答も求める事案の場合、送達しただけではありませんので、解決に至らなければ、別途、その後に取るべき方法について検討しなければなりません。

内容証明を出した後の考えられるケース毎に、その後の講じるべき方法は以下のとおりです。

<1>不送達


(1)所在不明
「転居先不明」などによって、送達が出来ず、返送されてしまった場合、まずは転居先を調べなければなりません。
その場合、行政書士等の士業は、職務上必要な範囲において住民票を取得することが出来ますので、住民票を確認することで新住所を発見し、転居先へ発送する事が出来ます。
(2)不在・保管期間経過
内容証明郵便は「一般書留」扱いですから、不在の場合等、受け取りサインが無いと、郵便物は配達されず、ポストに不在票が投函されます。
そして、保管期間の1週間以内に再配達の依頼をしなければ、差出人に返送され、持ち戻りとなってしまいます。
判例上は、どのような通知であるかを知りながら、あえて再配達の依頼をせずに受領をしなかった場合に送達されたものとされた判例もありますが、時効の援用など、送達することで効果を得るケースでは、再度、同文3通を作成して再発送するか、公示送達などの方法によって、確実に送達しておく必要があります。
また、意図的に受領しないと思われる場合や、不在票に気づいていないと思われる場合でも、別に、普通郵便で発送済み内容証明郵便謄本の写しを郵送するとか、勤務先や実家に親展付きで送る、等により、受領を促す方法もあります。
(3)受け取り拒否
内容証明郵便は「一般書留」扱いですから、配達員へ受領を拒否する旨を伝えれば、そのまま差出人に返送され、持ち戻りとなってしまいます。
この場合、受け取ることが可能であったのに、あえて受領をしなかったのですから、意思表示は送達されたことになります。
よって、時効中断を目的とする場合、および、意思表示の送達のみが目的の場合であれば、無事に送達が完了したことになりますので問題ありません。
しかし、貸金返還請求や慰謝料請求の場合には、送達して受領されただけでは何の解決にもなりません。
このような場合には、別途に最後通告を発送するか、支払督促や訴訟など、別途に法的な手続きをとる必要があります。

<2>送達済み


(1)無回答
時効の援用や退職届、相殺通知、債権放棄、債権譲渡、などの場合には、送達されたことのみで効果が生じますのでもんだいありません。
しかし、貸金返還請求や慰謝料請求などの場合には、送達して受領されただけでは何の解決にもなりません。
このような場合には、別途に最後通告書面を発送するか、支払督促や訴訟など、別途に法的な手続きをとる必要があります。
(2)事実否認や弁済拒絶
内容証明郵便が送達されたにも関わらず、相手が要求に応じない場合、別途、示談の協議や交渉を行うか、支払督促や訴訟などの法的な手続きをとるしか方法はありません。
(3)相手方からの申入れ
例えば、貸金や慰謝料の支払いを求める内容証明の場合、相手方から減額や分割払いの申し入れが届く場合があります。
口頭や書面で協議が可能なのであれば、別途に条件内容を調整して合意を取り付け、示談書や債務弁済契約書、あるいは公正証書を作成するなどして解決を図ることがベターです。

<3>法的手続き


法的手続きには色々な種類と方法がありますが、主要なものは以下のとおりです。


(1)通常訴訟
契約や損害賠償その他、法的な紛争の解決を図るため、公開の法廷で当事者双方が主張立証や反論反証を行い、最終的に裁判官が結論(判決)を出してくれる手続きです。
正当な理由なく欠席すると、相手の主張を認めたものとして、不利な扱いを受けます。
早い場合だと裁判上または裁判外での和解によって2~3ヶ月で解決となる場合もありますが、6ヶ月~2年程度の長期間に及ぶ可能性もあります。
また、当事者の一方が判決に不服ばときは、控訴するなどによって、さらに長引く可能性もあります。
相手方の所在が不明な場合でも「公示送達」という制度により訴状が送達されたことを擬制して、判決を得ることが出来ます。
(2)少額訴訟
金銭の支払いと目的としている事案で、請求する金額が60万円までの場合に、1回の審理で判決が出る簡易迅速な裁判手続きです。
ただし、相手方が少額訴訟での審理を拒否した場合には、通常訴訟に移行となります。
訴状の提出や出廷を必要とする点では、通常の訴訟と変わりありません。
1人が1年間に同じ裁判所で少額訴訟を利用できる回数は10回までに制限されています。
少額訴訟で判決となった場合、地方裁判所への控訴をすることは出来ませんが、同じ簡易裁判所に異議の申立てをすることができます。
(3)支払督促
金銭や有価証券などの一定の数量の給付を請求する場合の簡易な手続きで、出廷や立証が不要で、裁判官では無く、書記官による送達となり、そのまま強制執行まで進めることが出来ます。
ただし、相手が行方不明の場合、「公示送達」を行なえませんので、それ以上の手続きが進められません。
また、相手方から異議申し立てがなされた場合には、通常の訴訟に移行となり、実費の追加負担が必要となります。
支払督促の場合、送達後2週間経過して異議申立が無い場合に再度、仮執行宣言申立てを行い、これも異議申立されなければ、強制執行の手続きに進められます。
よって、相手にきちんと送達出来て異議を出されないという事案の場合であれば、期日管理や2回の申立てなどの手間はかかりますが、費用が安く簡易に行えるという制度です。
(4)調停申立
生活の中で生じる身近なトラブルや事業の立て直し,親族間の問題などを抱えてお困りの方のために,裁判所の調停機関が,間に入って話し合いにより,適正・妥当な解決を図る制度です。
裁判官と調停委員が関与することにより、法的妥当性や実情に即した解決の助言を受けながら進めることが出来ます。
また、裁判と違って非公開のため、プライバシーは守られますし、期間も大半が3ヶ月以内に終了となるので、早期の解決が期待出来ます。
ただし、あくまで「話し合いで合意を得る場」であり、強制は出来ませんので、当事者間の合意が得られない場合は、不成立となって終了します。
(5)仮差押え
裁判の長期化により、相手の資産が費消や譲渡されて、充分な弁済を受けられくなる虞があるような場合に、金銭債権の執行を保全するために、債務者の財産の処分に一定の制約を加える裁判所の決定のことをいいます。
あくまで「口座の凍結」や「登記の禁止」などの処分を禁じる「仮」の命令になりますので、具体的に弁済を受けるためには、別途、通常の訴訟によって判決を得る必要があります。




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